2007年6月25日

マリア様がみてる「あなたを探しに」に隠された秘密

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マリア様がみてる「あなたを探しに」【AA】に隠された秘密
今週の木曜日(6/28)にマリア様がみてるの新刊「フレームオブマインド」【AA】が発売されますね。短編集ですが、とても楽しみです。

で、前作の「あなたを探しに」を読んでいたところ、「どうして」の第三節(p139~p148)にあるちょっとした仕掛けがあるように思いました。
私が見た範囲の「あなたを探しに」の感想などでは、これを言及されているものを見受けなかったので、せっかくなので言及してみようと思います。

具体的に言うと、この場面では、ここより少し前の巻のタイトルが随所に隠されています。
それは以下のようにです。

白地図→未来の白地図

そのとき祐巳は、いつか瞳子ちゃんがしていた白地図の話を思い出していた。白地図の話はあらゆる可能性に満ちていても、色を塗り始めたら最後、思った通りばかりはならないのだと思い知る。(p142)


ガラスの向こう側→くもりガラスの向こう側

ガラスの向こう側で、景色が走る。まだ見ぬ山が、木々が、空気が、「早くおいでと」と急きたてる。(p147)


扉→大きな扉 小さな鍵

二人は付近に立った。(p140)
二人はから離れて、乗降する人を通した。その扉からは七人降りて二人が乗り込み、やがて扉が閉まって再び電車は走り出した。(p145)
寄りかかったが、ガタンゴトンと揺れている。(p147)


目的地→クリスクロス

瞳子ちゃんはまだ下りようとはしない。駅名を確認せずとも、目的地かどうかは景色でわかるようだ。(p145)
自分は瞳子ちゃんに確実に近づいている。目的地に近づくにしたがって、祐巳のそれは確信へと変わっていく。(p147)

以上の様に、タイトルを匂わせる表現が随所にちりばめられています。

そもそも、この場面というのは、M駅という普遍的な場所から、瞳子ちゃんに導かれてまだみぬ場所に行くというもの。祐巳ちゃんが瞳子ちゃんの心についに踏み込むという場面。

そして、ここに上げられているタイトルの巻というのは、祐巳ちゃんが瞳子ちゃんに妹の申し込みをして、振られ、その後二人が真に近づいていくというのを追っていった巻です。

つまり、この演出というのは、祐巳ちゃんが瞳子ちゃんを妹にするまでの流れというものを表す演出ということです。

要するに、ここの場面というのは、物理的に瞳子ちゃん由縁の地に向かうとともに、このように演出的にも瞳子ちゃんに近づくというのをあらわしているという場面なのです。


ちなにみ、ここに「未来の白地図」から「あなたを探して」の間にあるにも関わらず上げられていないタイトル、具体的にいうと「仮面のアクトレス」があります。(「イラストコレクション」もありますが、これは、まぁ、別枠で。)

ここで「仮面のアクトレス」が取り上げられていないのは、そもそも「仮面のアクトレス」では祐巳と瞳子の間の関係の進展が無いからだと思われます。ここでは、主に由乃と菜々の関係、生徒会選挙、令と祥子の関係、が主なもので、祐巳と瞳子の間の進展はありません。


このようなレトリックを意識すると、また違う楽しみ方をできると思います。
「あなたを探しに」自体のタイトルのレトリックに関しては【たまごまごごはん】さんがとても分かりやすく解説をされております。
(私の考察はこじつけっぽいところがありますが、【たまごまごごはん】さんのところはとてもしっかり考察されています。)




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