2010年5月17日

Angel Beats! 心理学からの説明と、天使と月の関係

jpgもっと文章が早く書けるようになりたいです。今回は7話までネタバレです。



その前に、とても面白い記事を一つ

「Angel Beats!」人生を追体験する音無の成長が物語を繋ぐ

ここでのKeyコーヒーの説明はとても説得力があって興味深いです。
恐らくZucce氏は、サンデル教授の政治哲学の講義を聞いているのだろうと思いますが、やはりTwitterでもそのような発言をしていました。NHKで放送中ですが、とても面白いのでこの記事と合わせてお勧めです。




さて、ちょっと前の話になりますが今回はAngel Beats!1話がメインです。
麻枝准さんが心理学卒と言う訳では無いですが、1話を心理学から考えてみると色々と効果的な理論を使っているようなので、今回はそのお話です。

今回は、
・音無が冒頭で3回死ぬ必要性(学習性無力感)
・ゆりが音無に世界の説明をする理由(スリーパー効果)
・制服の意味(確証バイアス)
・月と天使の関係
について書いていこうと思います。




■学習性無力感
まずは冒頭のシーン。音無が天使に一突きにされて死にます。
その後も何度か死に、音無は開始5分で計3回死にます。

jpgjpgjpgjpg

この理由ですが、これは学習性無力感を利用して音無をさっさと味方に引き込んだのでしょう。ゆりの戦略だと思います。
というのも、学習性無力感の問題の一つとして、『環境に対する積極的・自発的な働きかけが起こらなくなる』というものがあります。

アニメでは、保健室から逃げ出そうとしたり、大人を探していた音無ですが、早々に諦めてしまい、この後、もう大人を探したり逃げ出そうとする素振りは見せなくなります。
そんなに上手く行くかと思うかもしれませんが、実際、これぐらい強力に効いてくる理論です。

これにより、わずかな時間で音無が(表面的にしろ)SSSに加入し、この場から逃げ出すという目的から、記憶を取り戻すという目的にシフトしているので、ゆりの作戦は大成功と言って良いでしょう。

ちなみにこの3回死んだ内訳ですが、最初に死ぬシーンでは「新人勧誘の手はずはどうなってんだ~」と日向が言っているので、音無があの位置で目覚めたのはゆりの仕込みです。
天使に殺されたのは偶然にしろ、あの場で音無が死ぬのは予定された事しょう。
その後、野田に殺されるのとトラップで死ぬのはゆりがコントロールできる範囲です。




■スリーパー効果
次に、Bパート冒頭でゆりが音無に世界の説明をします。
しかし音無が「信頼できる大人を探さないと」とか「正直なところ、団結なんかしていない」と言っている様に、この時点では、音無はゆりの事をそれほど信頼していません。記憶喪失もしている音無ですから、このあたりは自然な感情でしょう。

色んな人間を勧誘してきた経験のあるゆりなら、そんな事は分かっているにも関わらず、Bパートで世界の説明を始めたのはなぜか。これは、音無をゆり側に早く引き込みたかったからでしょう。Zucce氏の言葉を借りるなら、ゆりのステージに立たせたかったのです。であるなら、真実かどうかはさておき、ゆりにとって都合の良い説明(従順になってはいけない等)はなるべく早くしておく必要があります。これはスリーパー効果で説明できます。

スリーパー効果は、『説得者の信頼性の低さの記憶』と『説得内容の記憶』とが、時間が経つにつれて分離していき、信憑性の低い人の説得効果が、時間が経つにつれて上がっていく現象です。

オバマ氏の風刺画やネガティブキャンペーンで問題になるなど、先の学習性無力感もそうですが、スリーパー効果も中々強力なものです。

実はこれ、私たち視聴者にも言えることで、ゆりが説明した「従順になると消える」「NPCと人間は違う」「模範通りには振りだけでもするな」といった話も段々と説得力が上がっているはずです。(その辺りを疑っている人はともかく)

ただしゆり自身は全て信じている事でしょうから、音無に嘘を吹き込もうとかそんな意図は無いでしょう。




■確証バイアス
先のゆりの説明で、一度音無が「NPCと人間は違う」と思い込んでしまうと、よほどの事が無い限りNPCが本当に居ると思い込んでしまいます。(確証バイアス)
これは、4枚カード問題で有名な確証バイアスの話なのですが、簡単に言うと人間は正しいことを確認して満足するという傾向があるのです。

ゆりは、これを制服で区別する事により実現しています。
恐らく、全員が同じ制服ではNPCと人間の区別が付かないのでしょう。しかし、このように明確に区別する事で、SSSのメンバーや音無は、NPCのNPCらしき行動部分を見つけて、「ああやっぱりNPCだ」と安心するのです。




■月と天使
最後に、月と天使の関係についてです。
7話の最後に出てきた天使は、満月を背負っているのがとても印象的でしたが、この満月は1話でも出てきていました。

この月、1話を見た段階では音無の心理描写かなとも思っていたのですが、どうも違うようです。

1話で、ゆりと音無の会話中は月が隠れる
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天使が音無を刺す直前に月が現れる(月の描写は無いですが、明らかに明るくなる)
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Bパート後半、天使が現れると月が現れる
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この後2~6話は同様のシーンが無かったですが、
7話にてもう一人の天使が現れる時は月が現れている。
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これらのシーンに共通しているのは、月が出ている時は天使が攻撃的になっているという点です。
月の魔力は昔から良く言われていた事で、満月の日は交通事故が増えるとか、凶悪犯罪が増える統計があるとか、そんな事がまことしやかに言われています。(バイオタイト理論。後にこの理論は否定されてます)

では単に月を「凶暴性」だとか「魔力」の象徴として出しているかと言えば、そうではないでしょう。とはいえ、今何か言えるかと聞かれても、何もまだ分かりません。

もし、ゆりを攻撃した天使の目の色が黄色ならば、初めから天使は2人居たと言えてしまうのですが、残念ながらこの天使の目の色は赤っぽいですね。
ただ、先のキャプチャでは月の光全体が赤かったので光の加減という説も考えられますが......。
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なんだかまとまりが無いですが、今回も時間があれなのでこのあたりで。




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